牛後どころか・・・牛「尾」までいったら・・・

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まず、鶏口牛後をおさえておきましょうか

今回の記事では、鶏口牛後という四字熟語を知っている前提でお送りするので、まずは鶏口牛後の意味について書きますね

もともとは中国で生まれた言葉で

大きな組織のなかで下っ端でいるよりも、小さな組織のトップにいたほうがいい』という意味です

牛後=牛のお尻 鶏口=鶏の口

この言葉を人生訓としている大人、偉人も多く、特に経営者の方は起業する前に必ず一度は頭のなかで浮かんだ言葉だと思います

小中学生はまだ「牛後の悲劇」を知らず、高校生は「悲劇中?」

残念ながら、勉強生活(定期テスト、入試)においても牛後でいる子たちの悲劇が待っています

大人になったら鶏口牛後、どっちが良いかは、その人次第です

先に言っておくと、鶏口牛後・・・小さな組織のトップの方が良いという書き方をしていますが、社会に出たら「牛後」の良さもありますし、牛後を敢えて選んでいる人もたくさんいます。牛後で幸せな生活も当然、送っています。逆に、「鶏口」を選んだものの、うまくいかない人生の人だっています

要するに「鶏口牛後」という考え方を知った上で、両方どっちがいいのか・・・両方選べる中で「じゃぁ、こっち!」と選択した道ならいいけど・・・ってことです。では、続けますね

「高校受験はボーダーギリギリでもいい」と思っていないか??

今回の記事を書いた最大の理由は、中3の受験対策の総仕上げの講座の様子を見てのことです

公立高校入試を控える中3生は、各自の第一志望の「入試点」をデータをもとに設定して、その点数をクリアするかどうかを入試本番とほぼ同じ時間で模試を行い、その点数を取れるかどうかを毎週やっています

その入試点ですが、私は数年前までは『ギリギリ合格できるライン=ボーダーライン』で設定していました

しっかりしたデータを根拠にギリギリを攻めているので、その点数を下回れば、ほぼ不合格ですし、その点を上回れば100%合格してきました

しかし、数年前からは

『岡崎、刈谷レベルならボーダー』『豊田西、刈谷北レベルなら中位合格ライン』『それ以外なら上位2割で合格ライン』

を入試点で設定するようになりました

牛後で合格した高校生の悲劇

塾屋の場合、高校生の指導コース、自習生コースがあるので、高校受験後の高校生の様子も何割かの子は分かります

そして、卒塾して塾にはいないけど、きょうだいで通っているご家庭なら懇談時に様子を聞いたりもします。今だとSNSがあるので、そこで繋がっていて近況は分かっています

あまりにリアルな悲劇を書くと「うちの子のことだ!」と怒られてしまいそうなので、オブラートに悲劇をお伝えします

ここでいう悲劇とは、以下の3つです

『学校の授業についていけずに、部活や他のことが全くできない日々(勉強は牛後のまま)』

『当初、目標にしていた進路は全部白紙。 大学でも就職でも、進路は妥協の連続

『早々に勉強を諦めて、自分の好きなことに専念する(でも、提出物や赤点回避で中途半端に)』

中学生の場合は、その学力や状況にあった高校を『選べば』いいですが、高校は学校内の上位から推薦が決まり、習熟度別でクラスも決まってしまいます。さらに、大学をガチ受験するには、学校レベルの勉強をはるかに超えないといけません

日ごろの勉強生活も辛い、次の進路も思い通りにいかない

多感な高校生活、約1000日を悲劇の連続で過ごさないといけなくなります

残念ながら、高校入学時に下位の生徒が高校に入ってから上位になる・・・というのは稀なケースで、何か1教科ならありえますが、総合順位でそこまでのジャンプアップは過去15年でも2・3人しかいません(その2・3人の子も、高校から指導し始めて、悲劇の状況を必死になって向き合った結果です)

ネットでボーダーライン分かってしまう・・・

昔はネット社会ではなかったため、塾で「◎◎点取らないと受からないよ」って設定したら、それを信じて向き合ってくれました。しかし、ネット社会になって、塾で「75点必要だからね!」と設定しても、おそらく自分のスマホでネット情報(正しいかどうかは子どもには関係ない)でもっと低い点で合格しているのを見て「なんだ、61点でも合格してるじゃん」と思ってしまうようです

そうなったら、塾がいくら「69点?不合格!」と対策の模試で判定しても

『あ、ネットで見た点数は超えてるから、いっか♪』と判断することでしょう

なので、そうやって「ギリギリのボーダーで合格すればいい」という判断であれば、残念ですが高校後の悲劇にあったとしても助けてあげることはできないと思っていてください

この「悲劇」の話は、実は中3には中3になった4月から何度も伝えている話です。「進学校以外は上位2割で合格していないと・・・」という話を。私は、今その高校でギリギリで入るくらいなら、今の状況で上位2割で合格できる高校に変えるべきだと考えていて、懇談でそう話したことも何度もあります。それでも「ギリギリでいいんだ」という頑張り方だったり、志望校をそのままで受験をするなら、その選択をした『覚悟』はしておいたほうがいいです

(もっとも、ギリギリの点数を越えているかって問題もありますが)

高校で『鶏口』になって・・・の美談を少し

こういう話をしていると

「でも、レベルを下げてあの△△高校になんて(恥ずかしくて)行けない」と思っている子、もしくは保護者の方もいらっしゃいます。最近だと、地元にずっといる祖父母の方が孫の進学先に反対しているなんてことも・・・

そういう方は、ぜひ『それから3年後』の実例を見せてあげてください。これは数年前の塾生の例なので、実話です

ケース1:内申42でも、あえて「豊田◎高校」に進学したSさん

高校受験時、おそらく学力的には刈谷や豊田西高校を選びそうな状況でしたが、かなり早い段階で「豊田◎高校」に進学すると宣言していました。おそらく、レベルでいったら余裕で合格できる高校です。しかし、それで成績が下がることなく高校に進学しました。その3年後『国公立の推薦で岐阜大学に進学しました』とのことです

その高校3年間は塾や予備校などは利用せず、学校の定期テストに専念した結果、当時のセンター試験や二次試験なしの推薦で合格できました

ケース2:進学校不合格→豊◎高校に学年上位で進学したEさん

高校受験時、あと数点足らずに進学校に合格できず第二志望の豊◎高校へ進学しました。この子は定期的にメールなどで相談は受けていましたが、いつメールをしても「3年後、その進学校の同級生を見返してやる」という感じの返信が返ってきていました。3年後、その子も「推薦で岐阜大学(しかも理系の難しい学科)に合格しました」と連絡がありました

ケース3:塾で指導して「鶏口」になったYくん

3つ目は、高校受験後、高1の夏に相談に来たYくん。高校受験は進学校を落ちて◎◎高校に進学しましたが、その高校でも最下位級の成績だったそうです(たしかに入試の点数を聞いたところ、◎◎高校でもギリ!ってくらいの点数)

「ここから全教科、しかも勉強生活全般を直していくってことは相当大変だけど・・・やる?」と何度も念を押して、指導が開始しました。最初は、おそらく塾生の中1の子より低い自己管理能力・・・数学すら丸暗記だと思って数字を覚えているような勉強をしていました。そこから1年くらいかけて一歩ずつ進み、高2の夏、文系で総合で学年1ケタをとりました

まさに「鶏口牛後」の「鶏口」になった瞬間です

これは、その立場だった人は分かると思いますが、学校内で成績が上位1割(クラスで約5位以内)になると、学校内の周りの反応が明らかに変わります。そして、先生の対応も変わります。その結果、高校という学校空間が自分を肯定してくれているような感覚になります。彼はまさにそういう感じでした

それ以降、私の手を離れて自己管理して学年1ケタをキープして、その高校では上位でないともらえないC大学の推薦で進学しました。受験勉強も一切することなく、進学校なら受験しないと進学できないC大学に進むことができました

最後に、じゅくちょーはどうだったのか?

最後、鶏口牛後に関して、自分の経歴をふまえて

じゅくちょーは中学当初は学年真ん中あたりの成績でした。愛教大に入って先生になる!という目標はすでに持っていたため、母が調べたところ「五条高校」という進学校が見つかったそうで、そこに入らないと!と思い、中2になって異常に勉強するようになりました。その結果、学年1ケタまで上がり「五条高校」が見えてきました

しかし、人は不思議なもので、行けるなと思うと手を抜いてしまいます。私の例に漏れず・・・中3で下降気味の成績・・そのまま中3の秋に担任から「それなら、一宮興道高校はどうだ?そこから愛教大に行っている人もいるぞ」と言われて、そちらに進学しました

おそらく、五条高校に入れたとしても「牛後」でしたが、一宮興道高校で「鶏口」(上位2割くらい)で入学して、その成績を維持して3年間過ごせたことで、国公立大を目指すクラス分けにも入れて、愛教大に進学できました。牛後を選択していたら愛教大どころか教師になる夢すら「目指す前向きさ」が消えて失っていたかもしれません

そして、就職する際にも「大手塾の下っ端社員じゃなくて、小さい塾でもいいから教室を任される仕事」を希望して小さな塾に就職しました。その後、塾屋を始めて現在に至りますが、就職先も起業も発想は「鶏口」です

私は勉強面や学校生活、仕事で「牛後」を経験したことがほとんどありません。「鶏口」を意識したつもりはないんですが、結果そうなっています

今の自分が周りと比べて幸せか、豊かなのか・・・は分かりません

でも、塾で中高生を15年で何百人と見てきて言えるのは

『鶏口牛後』の『牛後』側の高校生、『鶏口』側の高校生のことを知った上で判断しなさい!

ってことですかね、中学生に関しては

高校生や大学生には

『牛後』側の社会人(大人)、『鶏口』側の社会人(大人)の両方を知った上で選択してください

どっちが良いか悪いかの答えはありませんが、18歳までは「鶏口の方がいい」というのが私の結論です

それも信じるか信じないかは・・・(あとは都市伝説風)

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