一般受験には「向いている」「向いていない」があります
どの子どもにも得意・不得意があるように、受験方法の1つ「一般受験」も向き・不向きがあります
向き・不向きがあるからこそ、一般受験以外の受験方法が存在するのです
一般受験=王道、推薦受験=邪道・卑怯 なんて昔の話です
高校受験でも大学受験でも、一般受験と推薦受験があります
昭和・平成生まれの私たちのなかには
一般受験でいくのが王道!推薦受験でいくなんで邪道だ
という価値観の人もまだ多いと思います。特に中学時代に進学塾に通っていた子、高校を進学校に通っていた子は講師や先生から同様の話を何度も言われて刷り込まれているはずです
実際、塾での懇談会でも「推薦で行くなんて・・・ダメです」とおっしゃる方もいらっしゃいます
今は
一般受験に向いている子は一般受験、向いていない子は推薦受験
というのが新常識です
学力や成績、志望校に関わらず、その子の性格や勉強への意識などの適性で考えてあげてください
推薦で進学したら、その先で苦労する・・・は「確率」の問題?
よく、推薦で合格したって話を聞くと
『それだと、その先で絶対苦労するよ?』と言われたりします
たしかに、一般受験を経験した学生の方が学力は仕上がっていると思いますが、それは『入試に合わせて仕上げた学力』であり、その先の高校や大学では【日頃の勉強に対する習慣・能力】で、ついていけるかが変わってきます
なので、コツコツ勉強できる推薦受験組と、普段やっていなくて受験期だけ受験知識とテクニックを詰め込んだ一般受験組だと後者の方が危険だと思います
また、大学の場合は、その先(就職)の試験を考えたとき、ペーパー試験のみの一般受験組の方が苦労する可能性が高いかもしれません
「その先の苦労」という点では、受験の種類は関係ないと考えた方がいいです
一般受験=ペーパー試験 に向いていない子
ここで一般受験の特徴をあげておきます。この特徴をふまえてご覧ください
一般受験の特徴
- ペーパー試験の一発勝負
- 入試前の影響は少ない(内申や生徒会、部活実績など)
- 試験は、全範囲、定期テストより難しい
- 定期テストのように「ここから出します」情報はない
一般受験に向いていない子①:リスクがとれない子
推薦受験というのは、試験当日ではなく願書を出す時点で、ある程度の合格の可能性がある受験です
推薦受験の種類によっては、よほどのことがない限り、落ちることがない場合もあります
しかし、一般受験の場合は試験当日勝負であり、事前に誰かが有利/不利もほとんどありません
また、倍率も受験によっては2倍~10倍以上になる場合もあります
倍率2倍とは、2人受けたら1人合格するということです
一般受験をする人たちは、あなたと同じように一般受験に懸けている人たちであり、あなたより「志」望する気持ちも強くて、あなたより前から準備している人もいるでしょう
そして、そこの学校に合格できる可能性がある程度ないと実際に受験はしないので、受けてもどうせ受からない・・・という状況の子はいません。そんなメンバーが集まる中での2倍だったり10倍だったりします
今これを聞いて
えーーーそんなの絶対落ちるじゃん、無理むり~
と思えたなら、一般受験には向いていないかもしれませんね
一般受験は「落ちる」というリスクが推薦受験よりはるかに高いです
事前に合格が確約されている人もいないので、当日になるまで全員が「落ちる可能性」を持った状態になります
そういったリスクを負ってでも、その受験方法でいく理由や意志があるかどうかです
リスクを負う選択をするかどうかは、日ごろの様子を見ていても分かるかもしれません
日ごろ接している保護者の方の方が「うちの子はリスクを負えるタイプか」判断できるかもしれませんね
なかには、今は安全志向でちょっとでもリスクがあれば行動しないタイプでも、この受験を機に「変わりたい/変えさせたい」のであれば、教育として一般受験に挑戦するのもアリだと思っています
リスクを負える子に育てたいなら、まずは受験ではない部分でいいので「リスクを負って何かをする」経験をさせていかないといけません。オススメは、ボードゲームです。何か駆け引きがあるような対人のボードゲームがいいと思います
自分がリスクを負って何か行動することで相手に勝つ経験/負ける経験
一般受験は狙う学校や現状にもよりますが、ある種のギャンブルです
ギャンブルを全くしない生活をする人もたくさんいますし、お金を賭ける賭けないに関わらずギャンブル的な人生選択をする人もいます
それはその人の生き方なので、ギャンブル的な生き方を選択するという「選択」を自分の意志でできないようなら、一般受験には向いていないかもしれませんね
当教室では、年中からボードゲームを習い事にできます。詳細はTOPページにて
一般受験に向いていない子②:今の自分を変えたくない子/変えられない子
一般受験は、その志望校の合格するために自分の実力を受験科目全体で高めていかないといけません。さらには、学校生活と並行して行うため、学校の授業・行事・部活もあります
一般受験の良さの1つとして【自分の勉強次第で、好きな進学先に進める】点があります
ドラゴン桜みたいに、偏差値が低い高校で、その高校で下位の成績からでも自分次第で東大まで目指せて受験でき合格まで出来る可能性があります
そのためには、今の自分を「変え続ける」必要があります
考え方、過ごし方、勉強の仕方など、様々なことを「志望校に合格する人になる」ために合わせないといけません
しかし、なかには
『こうした方がいいよ』『こうやって勉強した方がいいよ』『その考え方では受からんよ』など指摘しても、その場は涙を見せたり納得している様子は見せるものの、結局「今の自分を変える」ところまで行動できない子がいます
残念ながら、そういう子は一般受験には向いていません
仮に一般受験をしたとしても、今の実力以上の志望校に合格することはなく、今の自分相応の進学先に落ち着くでしょう
特に志望校!といえるような進学先がないなら、このタイプでも一般受験していいのかなと私は思います
一般受験に向いていない子③:「人から」しか学べない子
塾で指導をしていると
マンツーマンでその子にピンポイントで説明したときしか学べない子
や
学校など先生がその場で授業をしたときしか学べない子
がいます
小学生はまだそれでも成績は上位になりますが、中学受験・中学生・高校生は「人から」だけでは足りません
- 学校の授業で、ワークにある問題を全問題、解説してくれますか? してくれないですよね
- 個別指導の塾で、全教科、全内容、習うことができますか? 毎日通って月謝10万はかかりますよ
- 頼りになる先生がいたとして、その先生はあなたが大学に入るまでずっといますか? 学校の担任なら1年だけです
- お母さんに大学受験レベルまでの全教科を猛勉強させますか? いくら我が子が可愛くても「やる」とは言いませんよ
ここからさらに一般受験の問題は、学校で指導がありません
高校受験時のリスニングの対策や長文の読み方、社会の総合問題・・・普段の学校だけでは足りません
一般受験の問題は難しいですし、各教科の基本をしっかり身についていないと解説を読んでも理解できませんし、似た問題を出されても解くことはできないでしょう
いつまでも小学校低学年のように
「ママ、教えて!」だけのワンパターン
「これ、学校で習ってないもん」という学校の授業絶対主義
これを卒業できていないなら、向いていません
授業や人から直接教わるのは、学びの1つです。すべてではありません
授業や指導で直接学ぶ
動画やアプリで学ぶ
参考書やワークで学ぶ
身の回り(テレビ番組、漫画など)から学ぶ
大事なのは、分からない・解けない問題を『放置しない』ことです
人からしか学べない子は、大人や先生がいないときは、すべての分からない・解けない問題を放置します
しかも「だって、お母さん(先生)いないんだもん」という言い訳を、さも周りが悪いかのように言います
このタイプの子は、受験どころか、通常の勉強の解決すらできていませんので、一般受験をもし取り組んだところで、とんでもない点数や偏差値が出ると思います
一般受験に向いていない子④:「志」望校がない子
4と次の5は両方セットだと壊滅的に向いていないといえます
志望校に「志」とつけたのは、多くの中高生が志望校、つまり「志す」と言えるところまで想いがなく、単純に「希」望校でしかありません
- まぁ勉強やってみて、ワンチャンそこを受けてみて受かったらいいな~
- 決めろって言われたから決めただけ
- 近いとか皆行くからそこにしただけで、そこがA校でもB校でも関係ない
1つでもドキッとしたなら、キミの志望校は「希」望校でしかありません
なのに、周りからは「そこに行くんだよね?諦めないよね?頑張りなさいよ」と言われていませんか?
自分はそこまでの想いはなくても、周りは「あなたは、そこを志望している人」と見られますので、その期待とのギャップに苦しむことになります
なので、特に大学受験ではこのタイプは受験勉強自体を最後まで続けられずにリタイアする子が多いです
志望校と言えるかどうか、私は2つ生徒に確認します
- 途中、模試の判定が悪くても、偏差値が伸び悩んでも変更せずに最後まで向き合えるか
- 他の大学に通っている自分を否定できるか
志望校が見つかると、今までの自分とは別人のように勉強しだす子がたくさんいます。よく本やテレビで紹介されるような「短期間で偏差値〇〇アップ」みたいな子はまさにこれです
もちろん、遅すぎると受験に間に合わず不合格になるかもしれませんが、大学受験なら浪人してでも「行きたい」と思えますし、なんとなくいった謎のM大学よりも、浪人してでも志望校だったA大学に合格した人生の方がいいと私は思います
一般受験に向いていない子⑤:勉強自体に楽しさを見いだせない子
仮に志望校が何もなくても、単純に勉強自体に楽しさを見いだせているなら、勉強がゲームや趣味のようになるので、全教科を使用するタイプの一般受験でなくても、得意教科・楽しめる教科だけで勝負する一般受験が向いています
勉強自体の楽しさをどこに見出すか、大きく3タイプあります
A:分からないところが分かる! それが楽しいタイプ
B:もっと詳しく知ることができる! それが楽しいタイプ
C:ゲームのように自分がレベルアップする! それが楽しいタイプ
このうちの1つでも『自分でそれを見出せるか』がチェックポイントです
例えばBのタイプでも、これを学校や予備校の先生の「授業」だけが楽しい!だと、一般受験の勉強時、つまり自分一人のときに楽しさを見出せないので、その教科(授業)は好きだけど、結果につながらない現象が起きます
勉強に対して、どの教科でも、どんな問題でも、いつでも「楽しい!」と思える人はいません
例えば、あなたが真剣に取り組んでいる(取り組んでいた)スポーツのときだって、嫌な練習や場面があったはずです
大事なのは、楽しいと思えるときを「自分で」作り出せるかどうかです
最後に:誤解しないでください!
上記はあくまでも「そのままのキミだと一般受験には向いていない」「いまのキミのままだと一般受験で自分の希望通りの結果は出ない」という警告です。あてはまっていて、それでも一般受験で進学したいなら、あてはまらない自分を変えるつもりで明日から意識してください。どうしたら克服できるか分からない場合は、頼れる大人に相談しましょう
指導する立場としては
「志望校といえるものがあって、そのために自分を変えていけるなら一般受験で勝負させたい」という想いがあります
この条件にあてはまらないなら、推薦受験の道を勧めたいです
これはどっちが上とか下とかではなく、道の選び方です。車で行くのか電車で行くのか・・・のような違いです
単に順位や偏差値ではなく、お子様の特徴や性格に合わせた進路指導を行っています